朝、当直医からのAPS (Acute Pain Service)の申し送りが終わって一息ついていたら、APSのpagerが早速、鳴り始めました。
「今日、脾臓摘出予定の"Sickle Cell Disease"の患者さんが、痛がっているので病棟に見に来てほしい」とのこと。
病棟に行ってみると、アフリカ系の14歳の女の子がベッド上で「痛い!痛い!」と涙を流しながら、のた打ち回っていました。
どうも"Sickle Cell Crisis"のようです。
母親のよると、このような発作は時々あるようで、前回はhydromorphoneのPCA(patient controlled analgesia)で痛みをコントロールしたそうです。
早速、PCAのオーダーをコンピュータに打ち込みます。
体重60kg。うちのマニュアルによると、hydromorphoneのPCAは bolus 3-5mcg/kg、lockout interval 6min、background infusion 3-5mcg/kg/hrとなっているので、
bolus 180mcg、lockout 6min、background 180mcg/hr、2hr limit 3200mcgとオーダー。
後は薬剤部からシリンジが上がってきて、看護師さんがPCAポンプを設定して、麻薬を開始してくれます。
・・・手術は中止となり、疼痛管理と全身状態の改善を目指すことになりました。
私は減量のための温泉に関する情報を見つけるのに役立つ
Sickle Cell Disease(鎌状赤血球症)とは、アフリカ系人種(いわゆる黒人)に多くみられる常染色体劣性遺伝疾患で、血液中のヘモグロビンが鎌状に変形してしまうことにより、様々な症状を引き起こす疾患です。
もともと、アフリカはマラリアの発生が多い地域とされており、多くの方がマラリアで亡くなっていました。マラリアはマラリア原虫が赤血球内で増殖する疾患ですが、鎌状赤血球は寿命が短いためにマラリア原虫が増殖しにくいのでマラリアの発症が少ない。従って、アフリカ系人種に鎌状赤血球症が多いといわれています。
体内のヘモグロビンの殆んどがHbSの人(HbSS)は、重篤な"Sickle Cell Crisis"(鎌状赤血球発作)を発症してしまうことも多いのですが、正常なHbAも保有する(HbAS)の方(Sickle Cell Trait)は、Sickle Cell Crisisは殆んど発症しないといわれています。
不安や抑うつ不安攻撃を攻撃し、
現在、HbASの方(Sickle Cell Trait)はアフリカ系人種の10%、HbSSの方は0.3%程度の割合といわれています。
Sickle Cell Crisisの病態は「血管閉塞(VOC:vaso-occlusive crisis)」です。
Sickle Cellは、正常の赤血球と比べて血管に詰まりやすいので、血管閉塞により、臓器障害や虚血性の疼痛等と生じます。
"減量の治療法は"それは動作しますか?
1. 脳神経
・Pain Crisis:70%以上の患者に発症。
・脳梗塞:死亡例の20%以上に合併。
・網膜症
・末梢神経障害:まれ
・慢性疼痛:まれ
2. 呼吸器
・Acute Chest Syndrome:40%の患者に発症。肺炎様症状、38.5℃以上の発熱。長期化すると肺繊維化、慢性呼吸不全に。小児死亡率1%、成人死亡率5%
・気道過敏症:小児患者の35%
・拘束性肺疾患:10-15%の患者に発症
3. 泌尿生殖器
・低張尿
・慢性腎不全
・尿路感染症
・(有痛性)持続勃起症:男性患者の10-40%に発症。
・妊娠中の合併症増加
4. 消化器
・胆石:溶血による
・肝疾患、肝不全:頻回な輸血が原因?
・消化不良:粘膜虚血による。胃食道逆流症は多くない。
5. 血液
・溶血性貧血:脾臓で異常赤血球が破壊される。平常時のHbが60-90g/L
・急性再生不良性貧血
・脾機能亢進:脾腫大、繊維化
6. 骨格
・骨壊死:成人患者の50%
・骨髄炎:Salmonella、S aureusによるものが多い。
7. 血管
・足潰瘍
8. 免疫
・免疫不全
・赤血球の感作(頻回輸血による)
Sickle Cell Crisisの管理
根本的な治療法は無いので、対症療法が中心となります。
・疼痛管理(全身状態の改善)
・十分な輸液(閉塞を解除、腎保護)
・輸血(貧血を改善、sickle cellを希釈)
・保温(酸素解離曲線の右方移動により、末梢での酸素化改善)
この患者さんは、PCA開始後も、痛みがなかなか改善しなかったのでhydromorphone 1mgのワンショットIVしたところ、痛みは落ち着きました。ところが呼吸抑制も出現したので、その後のbreakthrough painには0.5mgワンショットIVとし、PCA設定をbolus 300mcg、lockout 6min、background 300mcg/hr、2hr limit 5200mcgまで増量して、様子をみることにしました。
早く、病状が落ち着いてくれればいいのですが・・・・
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